昨今さまざまな分野で謳われるサステナビリティ。WhOはそれを広義に解釈し、デザインが果たすサステナブルな壁紙を提供しています。リラックスできる場所から非日常感の醸成、個性的なコンセプトなど、さまざまな視点から多種多様なホテル空間をベースにサステナブルを演出する壁紙をご紹介します。
今回は、インテリアの商品企画やコンサルティングを行うailescreation(エルクリエーション)の高田 真由美監修のもと、WhOの壁紙を選定。デザインに対するコメントの他、海外の事例も参考とした、空間づくりのアイデアについても語っていただきました。
高田 真由美 Mayumi Takata / ailes creation, inc.
大学で言語学専攻、国際法律事務所で秘書として勤務。輸入テキスタイルを扱うマナトレーディング株式会社の企画室チーフとして、商品企画とブランドマーケティングを12年間担当。海外展示会やメーカーを数多く訪問する。2013年エルクリエーション株式会社設立。海外最新インテリア情報の発信、商品開発コンサルティング、ブランドプロモーションエージェントほか、生地・壁紙・ラグ・照明などの商材提案を行う。ロロ・ピアーナ・インテリア、アレキサンダー・ラモントの輸入総代理店。
植物や動物など自然のモチーフがウェルビーイングへと誘う
柄の壁紙を使用した海外の優れたデザインのホテルでは、空間で使用される家具・ラグの要素が壁のデザインと上手に調和しているのをよく目にします。ここではグリーンとグレーの色の組み合わせが室内の中で効果的に使用されています。
サステナブルが注目される中で、多くの素材にグレーイッシュなカラーリングが多用される傾向がヨーロッパでも主流です。壁紙に大胆な柄を使用するときでも色を抑えて展開するのは今の潮流といえます。
必ずしも柄で埋め尽くすのではなく、アートのように佐々木愛さんのモチーフを壁面にデザインした事例です。心がリラックスする生き物たちのモチーフをさりげなく採用しています。
インテリアテキスタイルでは、クッションにみられるように、土や石を思わせるような手触りやカラーによるアイテムが多く発表されています。壁紙に、同じく自然からインスパイアされた水面のモチーフを異なる質感で対比させ、シンプルな部屋にアクセントを追加しています。
主張の強いデザインは、パネルとしてインテリアのアクセントにも
2022年のテキスタイルや壁紙デザイナー提案の一つに、窓の外の自然と室内のデザインの境界線を無くすような要素を入れるというのがあります。パネルデザインでその要素をさりげなく取り入れたデザインとなっています。
– PICK UP
WhOのデザインをもっと手軽にインテリアに。木枠に張りこんで、絵を飾るように壁を彩るウォールパネルです。壁紙として取り扱いのデザイン*からお好きなサイズでお選びいただけます。 *一部対応不可
室内にいながら外界を感じる空間。広がる山々が醸し出す解放感。
左から右へ、柄と無地を交互に配置しながらも全体的に流れるような拡がりを見せた壁面です。自然にもっともっと触れたいという渇望が高まる中、植物や山や海というモチーフをどのように表現するかが注目されています。
以下のようにエレベーターホールなどの大空間では一層スケール感を感じることもできます。
海外の先例に学ぶ。ドラマチックな演出には大胆な統一感で
柄を採用する場所は必ずしも壁面だけではありません。扉や天井など空間全体に同じパターンを持ってくることでアーティスティックな印象に。全てに同じ柄を持ってくるのではなく、スケール感の異なる同柄を配置したり、柄を入れない部分を作ったり、強弱を入れながら、同色で色を整えます。
― PICK UP
鉄扉などの”金属下地”にも対応した粘着剤付き塩ビシート「WhO INTERIOR SHEET」 は、耐擦過性に優れ、大面積にも適したマテリアルです。塩ビ壁紙のWhO Wallpaperとデザインを合わせて、異なる下地でもシームレスな空間を作ることができます。
客室とトーンを合わせて没入感のある空間に
ホテルにおける重要な空間の一つは「廊下」ではないでしょうか。自分が宿泊する部屋はどんな素敵な空間だろう?と想像しながら歩く前室のような存在でもある廊下、そして宿泊するお部屋、その両方に共通する要素を異なるバランス感で取り入れることにより、フロア全体に一つの流れを作ることができます。写真のデザインでは、思い通りの単色カラーをカスタムオーダーできるWhOの無地壁紙からパターンにあった色をセレクトし、空間に抑えを効かせています。
今人気のグラデーションパターンは、高い天井高や、長い廊下など、ある程度の長さがある場合に効果がより高いですが、右の写真のお部屋では、天井面から壁面にかけて一つの流れを作りグラデーションを効果的に見せています。
ナチュラルな素材感を表現したデザインで「サステナブル」を印象づける
キュビズムやアールデコなどのパターンの人気が高い中、グラフィカルな様々なバリエーションに人気が集まっています。文様を使用しながらも、グレーのトーンで全体がシックにまとまった事例です。
ここでは、壁面、クッション、家具、床に異なる柄や質感を採用しながらも、全体をモノトーンに抑えることによって落ち着いたロビーエリアを表現しています。上2つの写真に共通するデザインの描き方の特徴として、細かな手技が感じられる点が挙げられます。ラインで構成するグラフィカルな文様ですが、まるで微かなざらりとした質感があるかのような様子が精緻に表現され陰影も感じさせます。
この天井高の高いロビーエリアでは、大きく大胆なアートが壁面で生き生きとするように、パノラミックな壁紙で描かれた自然の海の力強い波の文様が生き生きと表現され、また同系色のクッションを合わせることで調和を取っています。
おわりに
「質の良い商材を使用することで長く商品が使用できる」「自然からインスパイアされたデザインで気持ちをリラックスさせる」など、今注目されるサステナブルな方向性から思いつく様々なパターンや質感の組み合わせを、壁紙でできる空間提案としてまとめました。
WhOの壁紙を使用した空間展開の可能性は無限にあります。最も特徴的でもあるフレキシブルなカラーセレクトや生き生きと描かれる動植物柄や幾何学文様など、それぞれのパターンを生かした事例提案として、また空間におけるそれぞれのシーン展開において壁紙はどこまで新たな使い方ができるかという視点から、特にホテルの空間に新しいエッセンスを取り入れるためのヒントとして事例をまとめました。ご参考にしていただけましたら幸いです。
― 本記事で紹介したデザイン
PATTERNS
CREATORS
Plants / CRYH022 ― 氷室友里 ※冒頭のデザイン
GRV2904 / CRGR004 ― groovisions
MIKU TSUCHIYA / CRCC018 ― 土屋未久
LOOK
La Touche Originale