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ニュース - 壁紙WhO

イベントレポート / まちを知る、つくる、つなぐ「かみしほろ デザインワークショップ」

2023.11.02
Journal

WhOと北海道上士幌町共同で、現地での滞在を通じて町の魅力を発見、壁紙のデザインを制作するイベント「まちを知る、つくる、つなぐ “かみしほろ デザインワークショップ”」を開催。

 

北海道の十勝地方に位置する豊かな自然に囲まれた町でありながら、自動運転バスやドローン、バイオエネルギーの活用といった先進的な面や、日本で初めて熱気球の大会を開催した町でもある「上士幌町」。そんな町を舞台に、2023年7月28日~8月1日の5日間、年齢も活躍するフィールドもさまざまな9名のクリエイターが参加しました。

 

DAY1

 

じわりと暑さも感じる晴天のもと、帯広空港には都内や山梨、長崎など各地から参加者が集まりました。上士幌町までの道中にある帯広駅では、道内から参加のクリエイターも合流。1時間弱かけて上士幌町へ向かいます。車中ではお互いが初めてという中でも会話をしながら少しずつ空気が和んでいきます。

 

到着後は、「かみしほろ シェアOFFICE」で簡単な今回のイベントや町の紹介といったオリエンテーションから始まり、参加者の自己紹介や住人の方からの町の歴史や食、文化にまつわる話がありました。

午後はグランプリ作品が壁紙として施工される「上士幌イノベーションサイト」へ視察も兼ねて移動。ここは町立の廃校を活用して地域へ開放するほか、イベント・実証実験の拠点や企業のオフィスとして利用し、町の未来に繋げていく場です。

夜には顔合わせを兼ねてBBQの交流会を開催。辺りはまだ少し明るく、涼やかな白樺並木と足元に咲く白い小花、奥に続く景色を見たり写真に収めたりする方も。

今回ボランティアとして参加する武蔵野美術大学の学生さんをはじめ、町長さんや町の方も駆けつけてくださり、賑やかで和気あいあいとした雰囲気でスタート。いつしか辺りも暗くなり、すっかり賑やかになっていました。

 

宿泊先は町の中心部に位置する「にっぽうの家」。ここはシェアハウスのような形で、今日からクリエイター同士の共同生活も始まります。

 

DAY2

 

早朝は上士幌町名物の熱気球体験から一日をスタート。熱気急は風が強く吹かないことが飛ばす際の条件ですが、この日は穏やかな天候に恵まれ、心地よい気温にまどろむほどでした。

 

そうこうしているうちに上士幌町熱気球メンバーがテキパキと準備をスタート。地上に横たわった巨大な布がみるみるうちに膨らんでいき、いよいよ順番に乗り込んでいきます。

静かに上がっていく独特の浮遊感と真上から見下ろす町の景色、遠くまで見渡せる壮大な自然風景は、参加者にとっても新鮮だったようで、怖さもありつつイキイキとした表情が印象的でした。

最後はみんなで熱気球から空気を抜く作業も体験。思った以上の力仕事で達成感もほどほどに次のアクティビティへ―。

 

 

糠平(ぬかびら)エリアでは、ひがし大雪自然館のスタッフさんが案内をしてくれました。夏の緑生い茂る地帯を抜けると眼下には糠平湖の広大な景色が。この時期は水量が少なく、干上がった湖底がむき出しになっていること、過去この土地の周りには火山が多く、噴火によって乾いた土が多いこと、また旧国鉄の朽ちかけたアーチ橋が遠目に霞んで見え、まるで別世界にいるような不思議な感覚にさせてくれます。心赴くままに朽木や石、植物などに触れ、自然と直に対峙します。

 

その後は公共牧場としては日本一というナイタイ高原牧場へ。どこまでも続く原っぱにポツりポツりと白黒の牛達が小さな群れを作っており、途中からは牛探しに夢中になっていました。

 

拠点へ戻った後は各々制作などの活動を開始します。

 

DAY3

午前中は豆と野菜農家さんを訪ねました。お二方とも農作物の近くまで連れて行ってくださり、成長過程や野菜や豆の種類など細かくレクチャー。クリエイター達も興味津々に耳を傾け、写真を撮り、質問と回答が飛び交います。

 

昼食後は「上士幌イノベーションサイト」にて、今回審査員を務めるまちのクリエイティブ・ディレクター初海(はつみ)さんと、上士幌町でグラフィックなどを手掛け、ご夫婦で活動されているワンズプロダクツを交えて進捗共有とフィードバック。それに向けて合間を縫って制作を進めます。

 

中間プレゼンの場では、ワンズプロダクツのお二人からは上士幌らしさや魅力をより伝えるためのポイントを。初海さんからは地域ブランディングの視点で町のイメージを鮮烈に伝えるための斬新な切り口の提案、WhOからは壁紙デザインとしての視点など、多角的にデザインを見ていき、4日目に向けて、頭を整理し方向性を決めていきます。

進捗確認終了後はイノベーションサイトから市街地まで自動運転バスで移動。

 

夕食はボランティアスタッフが上士幌産のお肉や野菜をふんだんに使ったカレーライスと餃子をふるまい、残り2日となったイベントの時間の早さに驚き惜しみながら、夕食を全員で囲みました。

 

DAY4

 

朝から一日中フリータイムとなった4日目。最後のインプットをするために早朝から気になる場所や人を訪ねたり、個室に籠って創作活動をしたりと、明日のプレゼンテーションに向け、各々集中した様子で活動していました。

この日は夜遅くまで点いた部屋の明かりが印象的でした。

 

DAY5

 

遂に迎えた最終日はいよいよプレゼンテーションが始まります。

4日間という制作期間としては非常に短い中で、本当に色々なことを吸収し、デザインへと昇華したプロセスが見事でした。集まったメンバーの年齢や、制作スタイルもさまざまという中で、町の切り口も多種多様で表現の可能性を無限に感じさせてくれます。

 

プレゼン後の審査では、ある程度共通した票が集まりながらも一人に絞るのは難航。町の表現として相応しいか、クオリティや今後の展開も踏まえながら検討を重ねようやくグランプリを決定しました。

 

 

GRAND PRIX – “WINDS AND FIELD”

《CREATOR : 徐 笠(ジョ リュウ) / テキスタイルデザイナー》

グランプリ作品は、台湾出身のジョさんによる「WINDS AND FIELD」に決定しました。

 

町の人にとっては何気ない風景だと思うが、自分にとっては特別な風景だったと語るジョさんは、風を黄色、光を白、草(トウモロコシ)を緑として抽象的に表現。画用紙をハサミで切り貼りし、モチーフを原寸サイズで並べながら配置したそのデザインは、町を上空から見た大胆な構図の中に、上士幌町を感じさせるモチーフと先進的な取り組みにチャレンジするエネルギッシュな雰囲気が共存していました。

滞在中のジョさんの制作の様子

審査員からは「イノベーションサイトに貼ってあることが想像しやすく、畑の中にぽつんとあり、周辺の白樺並木や日の光が入ってくる印象とマッチしている」という意見や、「貼る場所との親和性と町の表現との両面において高いバランス」と評価しました。

イベントを終えて

 

北海道上士幌町との初めての取り組みとなった「かみしほろ デザインワークショップ」。はじめてこの土地に足を踏み入れる方も多い中で、町の人との会話も積極的にされていて、町の人も温かく迎えている雰囲気がとても素敵でした。

 

クリエイター同士同じ屋根の下生活することで、制作過程やデザインプロセスが参考になったという意見や、違うジャンルのクリエイターとの交流に刺激を受けたという意見もあり、つくることに留まらない点もこのイベントの魅力なのかもしれません。

 

そして今回のグランプリ作品が「上士幌イノベーションサイト」へ無事施工されました。日の光が差し込み、外の緑と呼応するように透明感あるデザインがシンクロします。そして町の発信拠点として、この場で誕生するであろう新しいモノや体験を感じさせる、イノベーティブで明るい空間に生まれ変わりました。

また、イベントを通じて生み出された参加者による多様な視点で表現された町のデザインは、WhOの壁紙として商品化のほか、2024年春には上士幌町での展示会も予定。これからも町の魅力をクリエイティブを通じて発信していきたいという思いとともに、WhOも取り組みを続けていきたいと考えています。

 

 

COLLABORATIONS – KAMISHIHORO

 

 

 

Photo by Kiyota Chihiro

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